人材が育つことで成長する会社のつくり方

業績の見える化とは?

数字が嫌いな経営者の方も、世の中に大勢いらっしゃいます。しかし、数字を全く見ない、数字は絶対必要ない、経営者は、世の中に一人もいらっしゃらないでしょう。

そのような経営者がいらっしゃるとすれば、おそらく経営者失格です。

 

実際、数字は絶対必要ない・全く見ない、と言う経営者がいらっしゃったとしても、大多数の経営者が、少なくとも決算書、売上や利益(黒字なのか赤字なのか)を見て、会社の状況を知る、ご自身の報酬、従業員の給与・賞与を利益水準から考えて決定する、という行為を行っているでしょう。

 

業績の見える化とは、難しい話ではなく、業績=会社がどれぐらい儲かっているか、数字を使って明らかにする、ことです。

 

業績:売上―経費=利益

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この3つ(売上、経費、利益)を、形はともかく数字を使って、表や図で見せることです。

その深さが会社全体なのか(浅い)、セグメントと言われる事業別や拠点別なのか(深い)が異なるだけです。

 

~特徴~

業績の見える化の特徴は、以下の2つです。

①結果

経営の結果が、数値にはっきり表れます。この結果、利益がマイナスであれば、手元にお金がない限り生き残れないということになります。

 

元手なしで商売を始めた場合、100万円で仕入を行い(費用)、80万円で売った場合(売上)、▲20万円の利益であり、即時に支払(生き残り)ができない、ということは明らかです。

業績:売上80万円-経費(仕入)100万円=利益▲20万円

 

技術力、従業員・顧客満足度、ノウハウ等、場合によっては数値で表される項目もありますが、多くはあいまいで、その数値の高低で、生き残れる会社・生き残れない会社が明確に分けられるわけではありません。

しかし、業績は別です。本来は、「単なる数値の結果じゃないか。わが社の大切な従業員や技術力の何がわかるのか?」と言いたいところです。我々もそう考えています。ただ、利益があがらない限り、その大切な従業員たちも満足に雇えないことも、また事実です。

 

②共通言語

よく『数字は共通言語だ』と言われます。

今期の費用として計上するか、来期の費用として計上するか、といった判断や解釈が入るものの、最終的には数値として反映されるため、議論を行いやすいものとなっています。

また、誰が見てもわかりやすい明確なゴールとなります。単なる「既存客の売上増」という目標よりも、「既存客の売上10%、1億円増」と言うほうが明確であり、意思統一が図りやすいものとなります。

 

~効果~

見える化により、以下の効果が得られます。

●強み弱みがわかる

自分たちが儲かっているか、または儲かっていないのか?が明らかになります。

特にセグメントと呼ばれる事業、製商品や得意先の詳細な見える化により、製商品やサービスで儲かっているのか否か、特定地域で儲かっているのか否か、特定業種や規模の客層で儲かっているのか否か、が明らかになります。さらに、なぜこういう結果になっているのか、原因を掘り下げていくことにより、自社の強みや弱みが明らかになります。

 

●対策が立てやすい

強み弱みがわかれば、下記のように問題点の把握や改善策の立案に繋がることが多くなります。

―自分たちはこの顧客A会社で儲かっているから、さらにグリップ力を高めて深耕販売しよう

―自分たちはこの地域で儲かっていないから、テコ入れしよう

―自分たちはこのB製品で儲かっている、このB製品の××機能を顧客が評価してくれているからだ、さらにこのB製品について差別化し、販売強化しよう

 

~種類~

見える化は、以下の2種類があります。

●全社

●セグメント(事業、機能、拠点、製商品、得意先)別

 

全社は、文字通り、全社業績の見える化です。100%の会社が速度の程度の差はあるものの、決算書を作成しているため、全社の見える化は実施しています。

ただし、決算書自体は、損益予測に適した形でない等、形式を変更した書類を作成し、業績の見える化で使用することが一般的です(変動損益決算書と呼ばれるものが使用されます。)。

 

セグメント別は、本社・工場・支店/事業別/製商品・サービス別/顧客別の見える化です。通常、「業績責任単位」として区分することが多く、区分した各セグメントに責任者を配置し、権限・責任を与えることが一般的です。権限・責任を与えられた責任者が、セグメント毎に見える化した業績について、分析・説明し、課題・対策を検討することが一般的です。

全社業績を、より細分化することにより、セグメントに合った問題点を導き出すこと、改善策を考えることが可能となります。

また、セグメントを作成した後、なぜ、そういう結果になるのかを深く掘り下げていくことにより、当然ながらセグメントをより深く理解することが可能です。

 

『予想はついていたけど、やはり数字で見ると、あらためて実感させられる。××事業については、抜本的に改善が必要だ』

『この製品(顧客)は儲かっていたと思っていたけど、意外に、手間(検査/アフターサービス等)がかかっている。この検査やアフターコストは、××が問題ではないのか?』

セグメント別を作ることにより、ほとんどの会社で上記のような意見が表れ、改善活動へと繋がっていきます。

 

~速度~

『速度』も重要な要素です。数値がはっきりと示され、問題や対策が議論できるようになった、といっても、4月の業績を7月か8月に見たとしたらいかがでしょう?

当時、何があったかを思い出すのに時間を要し、さらに4月の問題点への対策は既に、7月か8月になると通用しない可能性があります。

従って、4月の業績は、遅くとも翌月末には見える化+次に述べる業績検討ができるように体制を整えていく必要があります。

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