人材が育つことで成長する会社のつくり方

業績の見える化を活かした人材育成

業績の見える化を行った後は、ただ見えただけで終わらせるのではなく、見える化を活かして、社内の人間で問題点を見つけ、対策を考え、利益に繋げていくことが必要です。そのために、会議を運営することが必要であり、会議(業績管理)資料を作ることも必要です。

 

~会議運営~

会議運営は、主に以下の2つの方法があります。どちらも共通の項目として、予算・前月対比、問題点、原因・対策を報告し、セグメント外の人間(社長を含む経営陣や他セグメント長)と意見を交わす、ということが挙げられます

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  • 業績検討会

社長・経営陣、セグメント長が一堂に際し、全社のみならず、セグメントの業績検討を行う方法です。セグメント長は、自ら属するセグメント以外のセグメント理解が深まり、全社内で協同した動きをとることが可能な一方、特定セグメントの問題に議論が集中する可能性があるため、無駄な時間が流れてしまう可能性があります。

  • 業績レビュー

社長(又は経営陣)とセグメント長が1(場合によっては複数)対1で実施するものです。対象セグメントのみの議論となるため、深みのある議論が可能となります。一方、業績検討会とは反対に、全社内の協同した動きが阻害される可能性があります。

 

大切なのは、セグメント長に全ての責任を持たせること、セグメント(小集団)で自己完結させる組織を作ることです。

会議を通じて、セグメントの責任者が、結果・原因の分析・説明を行い、課題を見つけ出し、課題に対し何をするのか検討・宣言し、実行することにより、マネジメント・リーダーシップ教育が可能となります。

結果として、数値を知ると同時に、経営のわかる責任者、つまり次世代の経営者が育つこととなります。

数値を通じて考え抜いていただくこと、ミニ経営者を育てることが目的であり、業績悪化の犯人捜しをすることが目的とならないよう、注意が必要です。

 

~会議資料~

注意点は2つあります

  • 納得性

業績の見える化を利用した人材育成を行うためには、セグメント長のモチベーションを高めていくことが必要です。そのためには、セグメント長の納得性が最も重要であり、予め、以下の2点を定めておく必要があります。

①業績責任単位

通常、セグメント別にセグメント長を配置するため、セグメント単位を明確にする必要があります。会社の実態に合わせ、事業部なのか、製品群なのか、拠点なのか、セグメント長の権限・責任範囲を明確にする必要があります。

工場内の全ての権限が工場長にあるにも関わらず、当該工場で製造されているA製品の採算責任(原価責任、生産管理等)を、工場長以外のセグメント長に持たせた場合、改善不可能であり、納得性はないでしょう。

②帰属売上、負担経費

セグメント別の見える化を行い、セグメント長に全ての権限・責任を持たせ、課題や対策を検討させるため、セグメントに関係した業績を集計する必要があります。

セグメント長が管理できない最終利益(管理部経費、他セグメント経費)まで責任を持たせた場合、①と同様、改善不可能であり、納得性はないでしょう。

 

  • 業績管理資料

業績検討会や業績レビューをより実効性のあるものにしていくためには、会議(業績管理)資料も整理していく必要があります。そのためには、会議資料は、以下の項目を明確にしていく必要があります。

―数値分析:計画数値や前期数値と比較してどうだったのか?どこが問題なのか?

―原因分析:なぜ問題が生じたのか?

―課題:問題解決のため達成すべき目標

―対策:課題解決(目標達成)のための方法

―対策を行うべき期限/担当者/進捗

会議を通じて、継続して業績検討・改善を行っていくことが重要です。貴重な時間を使って検討したことを議論するために分析結果や課題・対策を記載し、さらに対策の実行を担保するために、期限、担当者、進捗を記載することが必要です。

 

 

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